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『軽減税率を考える・免税事業者は課税事業者に転向?』 インスクエア ビジネスニュース Vol.1070

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01本日のコラム -

軽減税率を考える・免税事業者は課税事業者に転向?

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工藤珠加 ( くどうみか   )
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<軽減税率を考える・免税事業者は課税事業者に転向?>

先日、とある女性起業家支援パーティに参加して
まいりました。
そこで、ゲストとして、ライフネット生命保険㈱
の会長兼CEOの出口治明さんがスピーチをされて
いました。

出口氏の人間の幅を広げるのは「人、本、旅」と
いうお話が、素晴らしく前のめりで聞き入ってし
まいました。その他にも色々なお話が出た中で、
出口氏が消費税の軽減税率の導入に否定的なご意
見を述べられていたので、私も税理士の視点も交
え軽減税率を、皆さんと一緒に考えてみたいと思
います。

さて、軽減税率導入の是非について色々な場所で
論じられていますが、主なデメリットとしては下
記の4点になるのかなと思います。

1 高所得者の方が軽減額が大きくなってしまう。

軽減税率は高所得者にも適用されて負担軽減とな
るので、金額で比較するとむしろ高所得者の方が
軽減額は大きくなってしまう。

年収1500万円以上の世帯の食費は、毎月10万2538円
で、年収200万円以下の世帯では食費は3万7978円だ。

2%分の軽減税率による減税額は、年収1500万円以上
の世帯では2万4600円になるが、年収200万円以下の世帯
では9114円にとどまる。

(出典:「軽減税率」は、あまりに問題がありすぎる
 櫨 浩一 東洋経済ONLINE 2015年10月)
確かに、低所得者に配慮するのであれば、軽減税
率にするよりも、給付措置にした方が、救済の効
果は高かったと思います。

2 何の品目を軽減にするかで、ロビー活動がおこる?!

これは、出口氏が述べられたご意見でした。調べ
てみますと、海外でも軽減税率導入の際、対象品
目の線引等で問題点が多々あったようです。

日本でも、軽減税率は食料品に限定するということで
線引きをしていたはずが、急に、「宅配の新聞」
が軽減税率の対象品目に加わったことで、違和感
を覚えた方も多かったのではないでしょうか?こ
れはロビー活動の結果だったのでしょうか?!

3 事業者の手間が増え、運用コストもかさむ

軽減税率を導入するということは、事業者が「イ
ンボイス」方式を採用するということなります。

インボイス方式とは、登録された「適格請求書発
行事業者」が発行した「適格請求書」(インボイ
ス)に記載された消費税額に基づき計算をする方
式です。インボイスを正確に作成するため、事業
者の事務の手間もコストも増えると考えられます。

4 国も運用コストが増える

この点も出口氏が懸念していましたが、国側も事
業者と同じように運用コストがかさむと考えられ
ます。公平に正確に行おうとすればするほど、運
用コストがかさみます。

以上、軽減税率の導入は、消費者が、生きていく
ために欠かせない食品等について、消費税の値上
がりを気にしないで済む安心感がある反面、デメ
リットも抱えているのだなと、感じています。

最後は税理士としての懸念事項です。

◎免税事業者は課税事業者に転向するしかない?!

「免税事業者」とは、売上高1000万円未満のため、
決算時に消費税を納税しなくて良い事業者のこと
です。皆さんの中にも、消費税の免税事業者の方
がいらっしゃるかもしれません。

免税事業者には、適格請求書発行事業者としての
「登録番号」がなく、インボイスを発行できませ
ん。

そうなると免税事業者への対価は、課税仕入
れとして処理できません。

課税事業者であるA社と、免税事業者であるB社が
同じ値段で見積りを出したとします。

支払い側からみれば、同じ10万円であっても、
A社(消費税込)と、B社(免税)とであれば、
A社との取引を選択するはずです。

というのは、A社への支払分10万円のうち、
7,407円は消費税になり、消費税納税時に控除で
きるからです。

同じ10万円が手元から出ても、A社に支払った方が
7,407円分得になるので、免税事業者であるB社は、
今後、取引相手として選ばれなくなる可能性があ
るのです。

又、免税事業者は、自分では消費税を請求し、預
かることはできないにもかかわらず、仕入や水道
光熱費、外注費などの支払時には消費税込みで支
払います。通常の事業者であれば預かった消費税
から、支払った消費税を差し引いた残りを支払う
ので、あくまで預かった範囲内で納税するのです
が、免税事業者は消費税の支払いに自腹を切るこ
とになってしまうのです。

そうなると、免税事業者のほとんどは、自ら届出
をすることで課税事業者になることを選択するの
ではないでしょうか?

以上、今回は軽減税率について、考えてみました。
もし、皆さんの中に免税事業者の方がいたら、今
は見送られている消費税10%が導入されることに
なった時、消費税は関係ないから大丈夫!だと思
わず、きちんと情報をチェックしてくださいね。

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▼プロフィール:インスクエア サポーター
・氏名:工藤珠加
・㈱ストック総研 代表取締役

証券会社に勤務後、退職、結婚。
邱 永漢「女の財布」に触発され、税理士の道を目指す。
税理士事務所で経験を積みながら、簿記論・財務諸表論・
法人税法・所得税法・相続税法を取得。
 
長女妊娠中に税理士試験に合格。
次女出産後、平成14年に、大竹アンドパートナーズ税理士事務所を
開業(税理士大竹みか)。

平成28年6月 会社が継続的に発展する仕組みとして
「キャッシュ・フロー」を改善し「ストックビジネス」を構築する
㈱ストック総研を設立。
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