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『オンリーワンと祖国愛、自己愛』 インスクエア ビジネスニュース Vol.978

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■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━[vol.978] 2016/03/08━━■

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01 ┃本日のコラム -『 オンリーワンと祖国愛、自己愛 』
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  ┃ / 重村達郎(弁護士)
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 今回は、基本的にビジネスには関係のない話です。今週の日曜日、世界
卓球選手権の女子団体戦決勝とリオ五輪男子代表選考を兼ねた別府毎日マ
ラソンをテレビの実況中継で見ました。結果がわかってからニュースで見
るのとでは臨場感、緊迫感が断然違うし、勝負自体に面白みがあります。
 
 無論、私が高校で卓球部に属していた頃は、男子は長谷川和彦、女子は
深津尚子という若き世界チャンピオンがいて、団体戦でも文革の混乱もあ
って相対的に力が低下していた中国にも勝っていた時代から雌伏40数年、
やっと男女とも決勝戦までこぎ着けた段階で、客観的には実力差は歴然と
しており、よほどの番狂わせでもない限り1ゲームでも取れれば殊勲とい
ったところです。
 
 男子マラソンに至っては、世界トップレベルの高速レースからは取り残
され、最近では五輪での入賞すら困難という状況下で、文句なしのオンリ
ーワンを期待するのは難しい中での日本人一位を目指す相対勝負です。
 
 ですから、わずかな可能性に賭けるという点では共通していましたが、
結果的には両方とも、今後の飛躍の可能性を垣間見せる興味深い試合展開、
レースでした。演出の過剰と、服装からゼッケン、運動靴、サプリの補給
に至るまですっかり企業の宣伝に取り込まれた選手たち、アナウンサーの
絶叫口調やお涙頂戴の裏話などにはやや食傷気味でしたが。 
 
 民主党政権下での事業仕分けの中で、「二番ではダメなんですか」という
有名な台詞がありましたが、勝負の世界では確かに金メダルでないと価値
が半減するという厳しい現実があり、いくら参加することに意義があると
いっても、スポーツの国際試合や五輪には祖国愛を奮い立たせる要素があ
ります。
 
 今年リオで開かれるオリンピックは南米では初の開催であり、ブラジル
にとっては国威発揚、インフラ整備の絶好の機会ですが、同国の経済成長
はすっかり減速し、開催自体に反対する反政府デモも激化しています。
 
 選手にとっても、五輪は「政治」に翻弄され、自己のアイデンテイテイ
と祖国愛を自覚させる機会でもあります。戦前の1936年、ナチス政権
下でのベルリン大会で、台湾人でありながら日本代表として出場しマラソ
ンで金メダルを取った孫基禎選手、64年東京大会で国技柔道日本を背負
ってへーシンクに敗れた神永6段、国立競技場に入ってから英国選手に抜
かれ、非難されてその重圧から自殺した自衛隊体育学校出身の円谷幸吉選
手、ブラックパワー隆盛下の68年メキシコ大会で、表彰台で抗議を込め
て拳を突き上げ、以後スポーツ界から事実上追放された3位の米国黒人陸
上選手など、数々のドラマがありました。
 
 ひたむきな努力の末に精一杯闘ってもやはり負けるときはある、だから
そんなに結果にだけこだわらなくてもいいんだよという暖かい周囲の支え
と、祖国愛よりも密かにがんばった自分をほめてあげるという自己愛こそ
が、新たな出発点になることは抑えておいた方がいいかと思います。無論、
負けたこと、失敗したことの真摯な総括は必要ですが。
 
 これは、スポーツに限らず、入試であれ、就活であれ、基本的には同じ
です。勝ったときにうぬぼれたり、負けた人の心の痛みを感じ取れないこ
との方が人間としてはいかがなものかですし、まして勝てたのは偉大な指
導者のおかげですとか、日の丸が揚がるのを見てじーんと来たなどと、空
気を読んで言わざるを得なくなるとすれば、怖いことですね。
 
 たとえ頂点に立つオンリーワンでなくても、一人一人がかけがえのない
人生であり、世界に一つの花でいいのです。

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▼プロフィール:
・氏名:重村達郎(しげむらたつろう)
・ひまわり総合法律事務所 弁護士(大阪弁護士会)
  t-shigemura@himawarilaw.com 
 事務所HP・個人HP 各名前で検索してください
京都大学法学部・経済学部卒
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