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『大谷翔平の二刀流と米中貿易摩擦』 インスクエア ビジネスニュース Vol.1535

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01 ┃本日のコラム -
  ┃『大谷翔平の二刀流と米中貿易摩擦』
━━┃…………………………………………
  ┃  / 重村達郎(弁護士)
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 米大リーグエンゼルスに移籍した大谷翔平
選手の素晴らしい活躍が耳目を集めています。
今や伝説となったベーブルース以来の二刀流で
どこまで記録が伸びるかが注目されている
わけです。

 二刀流といえば宮本武蔵が有名ですが、
 同時に二つを追求するのは、虻蜂
取らずとか二兎を追う者は一兎も得ず
というように、否定的な文脈で言われ
ることが多いですね。
選択と集中が必要、両雄相並び立たず
というわけです。
突然、話は大きくなりますが、
年度初めだから許していただくとして、
米中二大国間の貿易摩擦が激化しています。

トランプ政権による中国の産業機械
などに対する1300品目、想定輸入額にして
約5兆3千億円に及ぶ25%の制裁課税
の発表と鉄鋼・アルミへの追加関税発動に
対し、中国は、ほぼ同額に等しいワインや
豚肉など報復関税の発動に踏み切り、
更に、米国産大豆や牛肉、自動車、
飛行機などの追加関税を発表しました。

今回の報復関税発動について、
国営新華社通信は、「先礼後兵」(先に
礼を尽くし、後で兵を動かす)と三国志
の言葉を引いて表現しましたが、
さすが悠久の大国の感があります。

「社会主義」国とは言え、やり手の
商売上手。

 下部構造の経済が上部構造の政治を
基本的に規定し、軍事が形を変えた
政治の継続であるとすれば、今回の
米国の行動は、イラク戦争時において
大量破壊兵器の隠匿を戦争の大義名分
にしながら、当時のフセイン政権が
原油取引をドル建てからユーロ建てに
切り替える発表をしたことが引き
金だったと同様の事態です。

即ち、去る3月下旬から上海で
人民元建てでの原油先物取引が始まり
ましたが、これは、今や世界最大の
原油輸入国となった中国が、米国の
世界支配の有力な源泉の一つである
「原油取引のドル決済」に風穴を
あけるもので、IMFに変わる
中国主導の世界開発資金融資の枠組
結成と並び、米国の虎の尾を踏む動きです。

一方、今回の米国による中国の知的
財産侵害に対する制裁課税の発表は、
貿易赤字の是正を旗印にしつつ、その実、
中国が産業高度化にむけた長期国家戦略
として定めた「中国製造2025」で
掲げる産業ロボットや航空宇宙分野など
10分野の重点産業を狙い撃ちしており、
貿易不均衡に加え、将来の技術覇権を
めぐる争いの様相を呈しています。

この通商法301条に基づく制裁が
発動され、中国が大豆や牛肉、自動車、
及び飛行機に対する報復関税発動の対抗
措置をとれば、トランプの支持基盤である
中西部の農業地帯を直撃し、また中国
でのEV現地生産拠点がほしいテスラ等
新興産業やドル箱の航空機産業には
手痛い打撃になり、今秋の米中間選挙
にも大きく影響するので、彼一流の取引
による神経戦外交の行方は予断を許しません。

それにしても、日本は今や二大国の
覇権争いの中で蚊帳の外と言った趣で、
1980,90年代の日米貿易摩擦が懐かしい
などというと顰蹙を買いますかね。

 大谷選手の活躍は、日本から大リーグ
への進出に対する制限など二国間摩擦を
引き起こす恐れはなさそうですから、
二刀流で大いに頑張ってほしいですね。

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▼プロフィール:
・氏名:重村達郎(しげむらたつろう)
・ひまわり総合法律事務所 弁護士(大阪弁護士会)
  t-shigemura@himawarilaw.com 
 事務所HP・個人HP 各名前で検索してください
京都大学法学部・経済学部卒
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