『起業家教育と中高一貫校、ムスリムの若き起業家精神』 インスクエア ビジネスニュース Vol.986
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■━━━━━━[vol.986]2016/03/22]━━■
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01 ┃本日のコラム －
┃『起業家教育と中高一貫校、ムスリムの若き起業家精神』
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┃ ／ 重村達郎（弁護士）
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「暑さ寒さも彼岸まで」とはよく言ったもので、例年に比べ暖冬だったと
はいえ朝夕はそれなりに冷え込みが続いていた中で、ようやくマフラーや
手袋ともお別れの季節が来たようです。
別れと言えば、卒業式たけなわ、職場に行く経路にある大阪市中央公会
堂では、３月上旬からほぼ毎日のように各種専門学校の卒業式が開かれて
いて、女子の袴姿が目立ちました。
今年の防衛大学校の卒業式は、留学生を除く４１９人の卒業生のうち、
任官拒否者が去年の２５人のほぼ倍に近い４７人と１割を超え、一学年の
定員４８０人からすると、途中退学想定者６１名を合わせて、約１／４が
入学後、自衛隊の幹部候補生にならずに転身することになります。
卒業式で制帽を高く飛ばして巣立つシーンは例年どおりですが、ＯＢに
よれば、任官拒否すると制服姿で出席する事になっている式当日の謝恩会
には出られず、スーツに着替えて裏門から出ざるを得ないとのことで、冷
たいですね。
おまけに、任官後、幹部候補生学校に入って将校への道を歩んでも、６
年以内に退職した場合には、先頃、ちゃっかり自衛隊法を改正して授業料
等を返還しなければならなくなっているそうで、なんだかなあという気分
ではあります。
もちろん、戦争に行くのがいやで辞める者ばかりではなく、相対的に好
景気で待遇の良い民間企業に入る転身組や任官拒否者を規律正しく、肉体
的にもタフな若者として歓迎する向きもあり、各分野で活躍しているので
すが。
話は変わりますが、次女が、これまでの行きがかり上、お手伝いをして
いる起業支援のＮＰＯ法人が主宰して、先頃、各国の高校生が具体的な起
業に向けたプレゼンを競う世界大会の日本代表を選ぶ関西地区のセミナー
が行われたのですが、灘や洛南など私学中高一貫校の生徒がやはりうまか
ったそうです。
私は、個人的には、様々な階層や地域の子供たちが集う公立小・中・高
校で育った方が、均一的な中産階級の輪切り集団の中で育つより、より人
の痛みや様々な人生を知り、なにがしか心優しく、かつタフに生きる力を
養えるのではないかと思い、（授業料や入学金が高いのも大きな理由です
が）、娘は二人とも地元の公立小中・高校にしました。幸い、いじめにもあ
わなかったようですが。
今、東大の合格者数上位高校のほとんどが私学の中高一貫校であること
に見られるように、親の収入の格差が教育格差につながり、格差社会拡大
の大きな要因にもなっていて、法曹界でも、ロースクール制の導入により、
１割から２割近くが２世というのが現状です。
もちろん、もともと頭が良く、特に理数系はオタク的な生徒が多い中で、
熱心な先生に恵まれて６年間も系統的に教えられれば、パソコンを駆使し、
起案やプレゼン能力も圧倒的に高まるのは道理です。
でも、大学入学まではそれで通用しても、世の中はそんなに甘くはなく、
これまでの優等生的な効率重視の発想や組織の事なかれ主義と自己防衛が
日本をダメにしたという考え方もある程で、戦前の陸軍大学校や海軍兵学
校出身の机上の秀才幕僚が日本を滅ぼしたのと通じるものがあります。
だから、防大に入学しながら自分には合わないとして転身した者、任官
拒否した学生こそ、落ちこぼれではなく、組織の論理にはまることなく、
あえて将来の一定約束された地位を捨て、自主的に物事を考えて行動した
頼もしい人材と言えるかもしれません。
ですから、彼らこそ、その貴重な経験を生かして、起業家になってほし
いところです。もちろん、民間の軍事請負会社や人材派遣業などは願い下
げですが。
この２４日から、インドネシアの女子学生が、日本との観光における起
業にむけた企業での研修のため、我が家に３週間ほど滞在の予定です。他
にも、京都の和束町で茶業経営の研修に来たり、明石で研修する学生もい
るようです。
数十倍の応募をくぐって、自ら起業プランを提示してこの研修派遣プロ
グラムに合格し、近い将来、大学や勤めを辞めてまで、日本とかかわりを
もった起業をめざすチャレンジ精神を評価したいと思います。皆、自由な
ムスリムです。
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▼プロフィール：
・氏名：重村達郎（しげむらたつろう）
・ひまわり総合法律事務所 弁護士（大阪弁護士会）
t-shigemura@himawarilaw.com
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京都大学法学部･経済学部卒
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