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インスクエア ビジネスニュース(暫定版その2) 2016/5/10

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■━━━━━━[vol.1018] 2016/05/10━■

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01 ┃本日のコラム -『燃費偽装とデータ・ランク重視主義の陥穽』
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  ┃ / 重村達郎(弁護士)
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三菱自動車による燃費データの偽装が発覚しました。軽自動車のエンジンを同社に発注していた日産からの告発によるというのが興味深いですが、偽装発覚以降、両社の軽自動車の売上台数は昨年同期の約半分に落ち込んだということですから、三菱自動車などは、リコール隠しに続く不祥事のため倒産の危機を迎えているといっても過言ではありません。

自動車業界がただでさえ過当競争の中で、旧三菱財閥はできの悪い子供の不始末にどこまでつきあいきれるでしょうか。第2のシャープの可能性もありうるところです。

運転中にリッター当たりの走行距離が表示されると気にはなるとはいえ、そのカタログ表示距離が他社の同種クラスの自動車に比較して1,2キロ低いところで、大してガソリン代に違いが出るほどのものではありません。

耐震偽装や杭打ちデータ偽装などと違って、検査にパスしないと製品を完成できなかったり安全性に影響がでるわけでもないですから、なぜこんな危ない橋を渡ってまでして偽装に走るのか、理解に苦しむところではあります。

長年にわたって偽装が見過ごされてきた背景には、カタログ表示走行距離データに対する消費者の過剰なまでの選好と、それを主要な販売戦略、及び技術の優位性の証しにしてきた自動車メーカーとの相乗作用によるところが大きいと思います。

しかし、こうしたデータの類が大してあてにならないのは、模擬試験における志望校の合格率、スポーツ選手・チームの世界ランキングから、診療科目・手術毎の病院ランキングに至るまで、日常的に経験するところです。その時々の体調や具体的な条件によって結果はいかようにも変わりうるからです。

以前、現勤務先事務所のあるビルの1階にフレンチレストランがありましたが、毎日ガラガラで店の裏に積まれる空のワインボトルもほとんどなく、いつつぶれるかなと思っていたところ、ミシュランで二つ星に評価されたとたんに数ヶ月先まで予約がとれない事態と相成ったことがあります。

このように、データやランク付けは、それを信じる人にとっては自身の行動や他者を評価する上で一つの目安になり、また自分の選択を合理化する気休め的な意味はありますが、それ以上のものではありません。ブランド品も同様です。それどころか、陸軍大学校出身の恩賜軍刀組が日本の道を誤らせた苦い歴史もあるところです。

三菱自動車についていえば、偽装をしてまで走行距離でしか優位性を主張できなかった時点で、既に勝負はあったというべきでしょう。世の中は、多少価格が高くても安全な有機野菜を求める人のニーズが確実に存在し、また、GDPや一人当たり所得の多寡ではなく、一人一人の個性や生き方を尊重し、数字では評価できない幸せの度合いを重視する方向に動いているのです。

サービスやおもてなしなどもその価値を数値化することは困難です。むしろ、数字に表わしきれないところにこそ、ノウハウやビジネスのヒントがあると言えるかもしれません。

この間の一連の偽装事件は、データやランク重視主義の陥穽に心しなければならないことを何よりも教えているように思います。

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▼プロフィール:
・氏名:重村達郎(しげむらたつろう)
・ひまわり総合法律事務所 弁護士(大阪弁護士会)
  t-shigemura@himawarilaw.com 
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京都大学法学部・経済学部卒
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