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『オリンピックと政治、商業主義』 インスクエア ビジネスニュース Vol.1088

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■━━━━━━━[vol.1088]2016/08/23━■

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01 ┃ 本日のコラム -『 オリンピックと政治、商業主義 』
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  ┃ / 重村達郎(弁護士)
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 リオでの南米初のオリンピックが終わりました。

ブラジルは、カーニバルとサンバに代表される熱い国というイメージで
したが(昔、ボボ・ブラジルという黒人プロレスラーがいましたが、あ
れは本名だったのでしょうか?)、リオは南回帰線に近く、気温も27度
前後で日本よりも涼しいくらいで、林立する高層ビルと整備された競技
場、道路、演出など、無事、主催国としてやり遂げたことを含め、
BRICSの一員としての国力を垣間見た思いです。

 私は、もともとスポーツ観戦は好きな上、盆休みと重なったので、結
構、テレビの前に釘付けでした。世界最高水準の競技や試合を、時には
衛星ライブ中継も含めて自宅に居ながらにして見られるのですから、あ
りがたいことです。
 
 そんな中で、日本選手の健闘には素直に喜びたいのですが、勝利を支
えた家族愛とか秘話の類は食傷気味なので、そんな場面になると、日本
選手が出場していなくても競技の中継にチャンネルを切り替えていまし
た。
 
 まして、選手の母親や親族、及び地元の体育館などに集まった応援団
の面々が、特攻隊のように日の丸に必勝と書いたはちまきを締めて、連
呼している様をみると、こういう同調圧力には与せず、静かに自宅で観
戦したいと思ってしまいます。
 
 オリンピックが「参加することに意義がある」というクーベルタン男
爵の当初の精神から離れ、プロも参加でき、企業スポンサー抜きには選
手育成もテレビ放映も成り立たない現実を前に、商業主義と国威発揚に
向けたメダル獲得競争が激化していき、選手も精神的に追い込まれてい
くことになります。
 
 勢い、報道は戦時の大本営発表の如くで、日本が予選落ちしたサッカ
ーなどは決勝戦までほとんど試合を見られずじまいでした。丸抱えして
いる企業にとって選手は最大の広告塔ですが、錦織選手が着ていたユニ
クロのポロシャツは街で普通に売っているのでしょうか?
 
 女子レスリングの吉田沙保里選手は、所属先のALSOKから理不尽
な広告への出場を迫られ、嫌気がさして辞めたという話も伝わってきて
いただけに尚更がんばってほしかったですが、選手団主将として金メダ
ルを取れなかったからといって、涙ながらに謝る必要性は全くありませ
ん。
 
 また、今回は、ロシア選手団の一部がドーピング問題で出場禁止にな
りました。世界反ドーピング機関(WADA)の報告書を受けて、陸上
競技の分野で組織的なドーピング隠しがあったことをロシア政府自身が
認めたのですから、当然の措置ですが
 
 (巻き添えを喰ったイシンバエアによる事前の皮肉たっぷりのコメン
トがあったせいか、女子棒高跳びの放映もほとんどありませんでした)、
更に米英国などが、開催直前になって全競技からロシア選手を閉め出そ
うとしたものの、IOCが各競技毎の国際連盟の判断に任せた結果、陸
上と重量挙げの他は、ドーピング違反の経歴がある者などを除き出場許
可が出ました。
 
 たとえば新体操、シンクロ、ハンドボール、バレーなどロシアの得意
種目を含め、選手が筋力増強剤を使用してもさして所定の効果があると
も思えず、ロシアが全競技について国ぐるみでドーピングをしている可
能性は低いと思われますが、「政治」に翻弄されている現状は、個人の栄
誉としているオリンピック憲章にも反し、ノーベル平和賞の選考と同様
の胡散臭さがあります。
 
 まして、パラリンピックの国際委員会がロシア選手を丸ごと出場禁止
にしたのは、理屈も立たず、バランスがとれないし、各競技の国際競技
連盟の対応は、今後、ロシアでの国際大会開催に向けたスポンサーの意
向を無視できない背景もありそうです。
 
 今回初の「難民」選手団というのも聞こえはいいですが、「台湾台北」
や「香港」での地域認定出場と同様、オリンピックに政治を持ち込む結
果になるのは避けられません。
 
 男子サッカーではPK戦で最後にネイマールが決めて金メダルを取り、
ブラジルはお腹いっぱいといったところ、次回は東京ですが、まだ未開
催のアフリカでの開催(南アフリカ共和国くらいでしょうか)が決まれ
ば、近代の最後のフロンテイアとも言うべきアフリカ大陸が投資と商業
主義の波に飲み込まれるに至ったことを意味するのかもしれません。

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▼プロフィール:
・氏名:重村達郎(しげむらたつろう)
・ひまわり総合法律事務所 弁護士(大阪弁護士会)
  t-shigemura@himawarilaw.com 
 事務所HP・個人HP 各名前で検索してください
京都大学法学部・経済学部卒
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