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『談合と司法取引、公文書の抹消・書換え』 インスクエア ビジネスニュース Vol.1516

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01 ┃本日のコラム -
  ┃『談合と司法取引、公文書の抹消・書換え』
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  ┃  / 重村達郎(弁護士)
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 リニア中央新幹線工事の受注をめぐって、
建設大手4社の談合事件が明るみに出ました。
建設工事をめぐる談合は今に始まった
ことではなく、明るみに出るのは氷山の
一角というのが世間の常識です。

 刑事罰のリスクもあるのに、
なかなかやめられないのはなぜで
しょうか。談合で会社は大きな利益を
確保でき、社員は逮捕されても会社
のためにやったことだからと、
むしろ生涯にわたって会社が面倒を
見てくれるという支えがある
からかもしれません。

 今回は、4社のうち2社が課徴
金減免制度に基づき、違反を公正
取引委員会に自主申告しました。
これで課徴金だけでなく、刑事
告発も免れれば、事実上の
司法取引に近い状況です。

 既に、東京地検は、申告組の
担当者の逮捕を見送る一方、否認組
の役員を逮捕し、ごっそり資料を
押収した上、拘置所で連日、
厳しく取り調べています。

 そもそも、身柄拘束してまで
取り調べなければならないほどの
ものか、罪証隠滅の恐れがある
として、事実上、談合を否認
している社に対する見せしめの
要素が強く、森友学園の籠池
夫妻の逮捕―長期勾留と同様、
政治的、強権的な捜査の感が
否めません。

 捜査当局が複数の共犯者に、
罪を認め情報を提供してくれれば
刑を軽くする、または免除する
ともちかけて、共犯者同士を
分断し、相互に疑心暗鬼に
陥らせて捜査の目的を達成
しようとするのが司法取引です。

 ロッキード事件の捜査に
おいては、米国では適用のある
司法取引―刑事免責を与えて
一方当事者(贈賄側)の
コーチャン氏から証言調書を
取り、それが裁判上の証拠と
して採用され、その捜査手法は、
最高裁でも当時の具体的な
事情のもとで合憲とされて
います。

 このような状況でなくとも、
中に閉じ込められ、いつまで
勾留されるかわからないと
なると、皆そろって否認する
のが共通の利益、最低限
黙秘するのが最大の武器、
とわかっていても、目先の
保身に走り、自白する者が
出てきます。

 共犯者の自白は、事件の
当事者しか知り得ないような
迫真性のある供述も少なくなく、
通常、有罪の有力な決め手に
なります。取り調べでは、
共犯者それぞれに、
あいつはこう言っているぞ
とか、素直に自供したぞとか、
時にはカマをかけて追い込み、
自白を取ることは常套手段です。

 しかし、客観的な証拠で
固めきれないものを利益誘導や
司法取引の力を借りて補おうと
するのは、本末転倒です。

今、日本でも、刑事訴訟法を
改定して司法取引を導入しよう
とする動きがありますが、
見過ごすことは出来ません。

 時には二重・三重スパイ
から興味深い供述がとれ、
真実の解明に資することが
あるとしても、そんな武器を
与えたら益々権力は悪をなす
という想定で、適用の有無、
条件を考える方が賢明なように
思います。

 何せ、国会でも、廃棄したはず
の公文書が出てきたり、刑法上の
犯罪にも該当しうるような、公文書
で都合の悪い箇所を平気で抹消、
書換えたりする我が国における
民主主義の劣化状況ですからね。

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▼プロフィール:
・氏名:重村達郎(しげむらたつろう)
・ひまわり総合法律事務所 弁護士(大阪弁護士会)
  t-shigemura@himawarilaw.com
 事務所HP・個人HP 各名前で検索してください
京都大学法学部・経済学部卒
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