『宇治茶と抹茶スイーツ』 インスクエア ビジネスニュース Vol.1028
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■━━━━━━[vol.1028]2016/05/24━━■
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01 ┃ 本日のコラム －『 宇治茶と抹茶スイーツ 』
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┃ ／ 重村達郎（弁護士）
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少し前になりますが、５月の連休に、京都府南部にある和束（わづか）
町に家族でドライブに出かけてきました。
府下で唯一の村である南山城村はお隣さんです。
宇治茶は全国ブランドですから、関東の皆さんもご存じでしょうが、和
束町は平等院などのある宇治市中心部からは車で３０分以上の距離があり、
電車も通っていないので、行くには不便なところです。
そんなこともあってか、和束町は京都府の茶の生産量の約半分を占め、
宇治茶の一大生産地で、別名「茶源郷」と言われる程、町全体に茶畑が点
在しているのですが、全国デビューは未だという状況です。
瓦屋根の集落と斜面の緑一面の茶畑が一体となった眺望は、生業の景観
として京都府景観資産登録第１号となり、２０１５年には将来にわたって
残すべき「日本遺産」にも認定されました。「日本で最も美しい村」連合に
も加盟しているとなると、何やら行きたくなりますね。現地には、和束産
の抹茶を使ったスイーツや地元特産品などが楽しめる茶カフェもあります。
５月の茶摘みのシーズンは気候もさわやかで、茶畑の風景の中で、製茶
場からの何とも言えない香りがあたりを包み、ハイキングがてら、町内を
歩く観光客も増えています。これから、新茶のシーズンです。
中国から高名な僧が持ち帰ったと伝えられる茶の生産が、なぜ京都の宇
治を中心に発達したのか、日中と夜との温度差によって生み出される深い
霧が、茶葉を強い日差しから守り、独特の旨みと香りを作るのに寄与した、
と言われています。
それが、白足袋族が跋扈する京都の独特の風土と文化の中で、平安貴族
文化の頂点ともいうべき平等院のある宇治の名が先行し、和束町は実質ナ
ンバー１の産地でありながら、名前では宇治煎茶として後塵を拝してきた
わけですね。
かつて、インドと中国・チベットとの国境に近いシッキム地方に名目上
の法律研修旅行で行ったことがあります。イギリスの植民地経営の中で、
避暑地の山の中にオモチャのような機関車鉄道を敷設してまで、世界的に
有名なダージリン茶の生産―流通拠点とされたところです。
故ネール首相も泊まったと言われる当地の最高級のホテルに泊まり、毎
日、毎食、茶器で出てくるおいしい紅茶が飲み放題の旅行でした。
やはり、当地でも茶摘みは人海戦術でなされていましたが、女性にとっ
て、高地とはいえ日中のカンカン照りの中での作業はそれなりに過酷な労
働ではないかと思います。
ジャムや染色と同様、植物では茶葉以外でも、お茶の材料として使える
ものが多そうです。柿、クコ、ヨモギ、桜、ハーブ、ドクダミ、蕎麦・・、
先日は自宅の庭に植えた一本のお茶の木の新芽を摘んで煎り、自家製お茶
を楽しみましたが、悪くないですね。
インドネシアからの研修生はこの和束町で３週間近く研修したようです。
彼らにとって日本のお茶とその製造―販売工程はどのように映ったでしょ
うか。
なぜか、台湾やインドネシアから来て我が家に泊まった学生や研修生も
抹茶のお菓子が大好物で、お土産に１００円ショップで買った抹茶のキッ
トカットチョコや「茶の菓」などのスイーツを大量に持って帰りました。
一昔前なら、お茶や水をわざわざ日常的にボトルで買い求める多くの消費
者がいて商売になる、などということ自体が驚きだったかもしれません。
しかし、今や、抹茶味は、かつてのテンプラ、サシミなどの料理と同様、
「日本」を表す代表的なスイーツになっており、多彩な関連ビジネスが生
まれているのです。マッチャのチャチャチャ。
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▼プロフィール：
・氏名：重村達郎（しげむらたつろう）
・ひまわり総合法律事務所 弁護士（大阪弁護士会）
t-shigemura@himawarilaw.com
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京都大学法学部･経済学部卒
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