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『大規模な難民の流入とEU諸国の反応』 インスクエア ビジネスニュース Vol.865

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■━━━━━━━━━━━━━━━━━━[vol.865] 2015/09/08━━■

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01 ┃ 本日のコラム -
  ┃   『 大規模な難民の流入とEU諸国の反応 』
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  ┃ / 重村達郎(弁護士)
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編集委員藤田からのコメント
重村氏は在日韓国人、中国人の様々な問題に対応してきています。
最近の国際情勢を理解するには、空間的認識が必要です。

https://www.google.co.jp/maps/@34.8149145,39.0464523,4z

のような地図を参照しないと感覚がつかめません。
シリアからハンガリーも遠い。

以下、重村氏投稿です。

 どのタイミングで書くか、まだ評価が定まっていなくても、必ず言及した
い事象がある。今週の出来事でいえば、シリアなどからの大規模な難民のヨ
ーロッパへの流入である。
 
 欧州での出発拠点になるハンガリーで、政府の強硬姿勢により国際列車を
足止めされていた人たちが、我慢の限界を超え、万の列をなして道路や鉄道
の線路を行進し始め、押しとどめることができなくなって、国境が事実上開
放されたというニュースである。量が質に転化したのである。
 
 皆、ドイツを目指すという。ドイツはそんなにあこがれの地か。もっとも
ドイツ政府は限定的に緊急での受け入れを言明しただけで、一時的に保護施
設に収容し、食糧、臨時生活費などを支給することになるが、難民の誰もが
そこで働けるとか、定住できるという保証など何もない。むしろ、EU各国
で難民の受け入れを分担してほしいとして、半ば押しつけ合っている格好だ。
 
 ドイツでは、極右勢力の難民排斥デモも起きているが、内戦状態にあるシ
リアなどからの難民は温かく迎えるべきだとの動きも広がっていて、市民が
難民らを拍手で歓迎したり、列車の窓越しに食糧などを差し入れしている場
面も報道されている。
 
 パリでは難民に連帯を表明する数千人のデモが起き、ローマ法王が全ヨー
ロッパに10万以上ある全ての教会、修道院などで1家族を受け入れると表明
するなど、明らかに従前の狭いナショナリズムや宗教の違いに基づく不法移
民排斥の動きと異なる地殻変動が起きている。
 
 転換の場所がアジアとヨーロッパとの結節点とも言うべきハンガリーの国
境から始まったというのも、かつてのベルリンの壁崩壊に至ったときの西側
への脱出劇の開始を想起させて興味深い。
 
 無論、家族を殺されたり家を破壊されたりしてこれ以上失うものもない中
で、必死の思いで脱出してきた難民たちの窮状につけ込んで高利をむさぼる
密航ビジネスが横行したり、偽装難民による不法就労希望者が紛れ込むこと
は避けられない。
 
 また、元々のシリア内戦を作り出した米国・ロシア、イランを始めとする
大国の介入と西欧型近代合理主義の通用しないイスラム国というがん細胞の
ような「国境なき」組織の存在を抜きに事態を語ることはできない。
 
 しかし、巨万の人々がせっぱつまって自発的に実力行動に出たときに初め
て歴史の歯車が大きく回転すること、その後暗黙の支持に支えられてしばし
の混乱の中から新しい世界と秩序が生まれるに至ること、その中で主体的に
生きようとする者にまずは新しい人生の可能性が与えられることを改めて今
回の事態は教えている。起業の精神も基本的に同じである。
 
 日本の安保法制反対のデモは行儀がよすぎではないか。

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▼プロフィール:
・氏名:重村達郎(しげむらたつろう)
・ひまわり総合法律事務所 弁護士(大阪弁護士会)
  t-shigemura@himawarilaw.com 
 事務所HP・個人HP 各名前で検索してください
京都大学法学部・経済学部卒
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